文妃と武妃の子

2020年11月12日

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 とある国に、武を尊ぶ家から入内したお后と、文を尊ぶ家から入内したお妃がおりました。仮に武妃と文妃と呼ぶことに致しましょう。

 武妃は家門の倣いといいましょうか、多少脳筋なところがあります。文妃は聡明ではありますが、頭でっかちなところがあります。そしてとても嫉妬深い。

 武妃と文妃に子どもが生まれました。文妃の方がちょっと先に王子を生みます。ほどなく武妃のもとにも子どもが生まれました。武妃のもとに生まれたのも王子でした。武妃に付いている頭のキレる女官長が「やっべぇです、王子だと文妃さまにライバル視されて、最悪武妃さまもお子様も殺されるかもしれんぞな」と武妃に進言します。武妃は「さもありなん。」と納得します。自分だけなら何十人と刺客を送られても太刀打ちできるけれど、小さな子どもには防ぎようがないので、どうすべなと思案します。女官長「①王女として育てる、②死産したと発表して市井に落とし、生きながらえさせる、さあどっち、どっち?どっちだー?」武妃熟考し「①王女として育てる」女官長「ファイナルアンサー?」武妃「ファイナルアンサー」───二人とも頭はそんなに良くないかも。

 武妃の子どもは王女として発表され、文妃の子と共にお披露目です。文妃は武妃の子どもを覗き込んで、ちょっと気の毒に思います。武妃の子どもは野太い眉毛、赤ちゃんなのに丸みが皆無ながっしりした女の子(嘘)だったのです。───これはお嫁の行先が心配だわ。あれあれ?文妃、嫉妬深くなんてないやん。普通にいい人やん。嫉妬深く見せているのは文妃一流の策略だったのです。文妃は嫉妬深くはないが、腹黒。でも女の子だと紹介されると素直に信じてしまう甘いところありです。

 さて、二人の王子の呼称を仮に武王女(嘘)と文王子といたしましょう。
 武王女(嘘)の行く末が心配な文妃。花嫁修業と称して武王女(嘘)に行儀見習いや、刺繍など、女性らしい事を文妃の元で学ばないかと武妃に提案します。だって、武王女(嘘)がお嫁に出さないと国庫の負担になるでしょう?───というのは言い訳で、あまりにも女の子としてはぶちゃいくなので、逆に可愛くなってしまったのです。パグ犬が可愛いようなものです。自分の子でさえ没交渉になりがちな後宮で、ライバル后が教育を申し出るなどとは前代未聞。武妃としては丁重にお断りします。ウラがありそうですし、男の子だとバレちゃうのも困りますからね。でも熱心な文妃の申し出、また、いつもはのほほんとしている王様の口添えもあり、武妃は交換条件で文妃のところの文王子に武道を教えることで決着します。

 武王女(嘘)は文妃のもとで学びますが、しかし、武王女(嘘)よりも文王子の方が刺繍は上手です。文王子は武妃のもとで剣術を指南されます。しかし、文王子は武王女(嘘)に負け続けます。

「ちぇっちぇっ。なんだよ女のくせに。」

 文王子は面白くありません。もともと文妃に似て線の細い美少年だったのですが、必死に鍛錬し、細マッチョの美青年に成長します。大層モテますが、本人は武王女(嘘)に負け続けていたためそんなこたどうでもいいと思っています。

 武王女(嘘)は特に鍛えてもいないのに日々成長する筋肉に悩みます。

 その頃になると、さすがに文妃も文王子も「あ、コイツ男だな」と気づいています。そりゃそーだ。のど仏もスカーフぽい布で隠していますがバレバレですし、女性ものの薄絹を何枚も重ねただけの服からだとご立派なイチモツも・・・あらあら。おかしいわね?ってことになります。武妃のところの女官長もさすがに「こりゃばれてーら」と思っています。バレていないと思っているのは武妃と武王女(嘘)のみです。

 武王女(嘘)は文妃に男だとバレると56されると本気で信じています。次第に文妃や文王子の元に近寄らなくなります。

 文王子は武王女(嘘)のことを心配して部屋を訪ねます。落ち込んだ様子の武王女(嘘)が訥々と話す言葉に耳を傾けます。

「そっか。そっか。武は女の子にどうしてもなりたいんだね。」
(や、もう母にはバレてるから大丈夫だけどねー♪)
「女の子になるいい方法があるよ。」

 はいはーい。ここでまあなんだ・・・。文王子が閨教育で薫陶を受けた性技が炸裂します。この国、男性同士でも「念友」といって肌を合わせて知己を得る風習があるため、男同士の閨教育もあるのです。

 武王女(嘘)の陥没乳首はねっとりとした文王子の攻めで見事にぷっくり乳首になり、ご立派なイチモツはただ扱かれるだけで誰かの洞に埋まることもなくふるふる揺れ、後孔には文王子のブツが出し入れされて・・・。「私♡女の子になっちゃった♡」という仕儀に相成りました。

 この後、文王子は武王女(嘘)に夢中になる余り、他の女性など目にもくれなくなります。文妃は困ったなと思うのですが、武王女(嘘)のこともかわいいのでいかんともしがたく。作者ご都合的に産まれていた文王子の弟に白羽の矢が立ち、弟王子が即位します。

 武王女(嘘)はムリな女装を解いて、今は立派な美丈夫として軍に所属します。文王子も同じく軍に入り、めきめきと出世し、国の双璧と称えられる大将軍となります。

 隣国が攻めて来た際は、武王女(嘘)が本陣を敷き、真正面から敵を迎え撃つところへ、側面から文王子が敵を叩き大勝利を収めました。

 なお、武王女(嘘)はそのいかつい見てくれとは相反して、しゃべるとオネエ言葉。そのギャップに軍の部下たちはヤられています。

 文王子は戦いの最中離れ離れになってしまうのが気に食わないと、弟王に文句をいい、以後は戦いが起こらないよう弟王は調略に力を入れるようになります。弟王の治世において大きな戦いは隣国が攻めて来た一回のみ。稀に見る平和な治世だったと後世に伝えられました。

 文妃は、弟王の子ども達に囲まれて幸せな一生を送りました。

 武妃は国内を漫遊し、ちっちゃないさかい事を解決する世直し旅に出ます。傍らにはもちろん女官長が付き従います。女官長、実は暗器を操る暗殺者でもあります。武妃の旅については数多の小説の題材となり、舞台化までされ、大人気となりました。

 文王子と武王女(嘘)?戦いのない世の中でも軍の育成に手を抜かず、勤めを果たす傍ら、小さな離宮に居を構えて幸せに暮らしましたとさ。

おしまい

無理やり女装させられている受けを書きたかったお話です。

© 2020 Saho Tachibana
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